正しく日本語を使えていますか?『日本語のニュアンス練習帳』
こんにちは。個太郎塾佐久平教室の渡辺です。
本日は、岩波ジュニア文庫から刊行されている、中村明『日本語のニュアンス練習帳』をご紹介します。中高生の生徒さんはもちろん、大人のかたでも、作文や読書感想文、説明文や意見文、小論文、あるいは小説など、自分で文章を書こうと思ったときにきっと役に立つ一冊です。
日本語のニュアンスの違いとは?
さて、ニュアンスというのは、表現の微妙な違いのことです。日本語には似たような意味をもつ言葉がいくつもあります。
たとえば本著で紹介されているのが、「夕」「夕方」「夕刻」「日暮れ」「夕暮れ」「夕間暮れ」「暮れ方」「たそがれ」「薄暮」「灯ともし頃」。いずれも夕方になって日が落ちて、空の色が青色からだんだんオレンジがかった赤のような、あるいは薄いピンクと紫のグラデーションのような、あのなんとも言えない、昼から夜に移り変わるあの一時を指す言葉です。
どれも大まかな意味は一緒なのに、どうしてこんなにたくさんの種類の言葉があるのでしょう?情報伝達の意味合いからすれば、どれを選んでも支障はなさそうに思えます。
とはいえ、どの言葉を使うかによって、印象がだいぶ変わってくるのが日本語というもの。
「夕」だと会話では通じにくいし、日常語の「夕方」ではあまりに平凡で芸がないように思います。かといって、「夕刻」では少し改まりすぎるような気がします。「日暮れ」などと書くと、「夕暮れ」以上にしっとりとした感じになりますが、なんだか古風な印象を与えそうでためらわれます。詩でもないと「夕間暮れ」なんてことばは使いにくいし、「暮れ方」と書いたのでは時代がかった空気になってしまいます。「たそがれ」という表現は優雅な感じで、「黄昏」という漢字を宛てればさらに趣が増すのですが、会話にはなじまないし、エッセイの中に使うにしても、自らうっとりしているような雰囲気がいささか気になります。「灯ともし頃」などと書くと、なおさら気どった感じになってしまいそうです。
P.ⅳより引用
文章は他のひとに読ませて内容を伝えるものであるため、どれが自分の気持ちにぴったり合うのか、相手がどのような印象を受けるのか、イメージのずれが起きないようによく言葉を選んでいくことが重要です。
本著では、こういった日本語のニュアンスの違いを発想・発音・文字・意味・語感・文法・敬語・伝達・表現・季節の10レベルに分類して紹介しています。
そう書くと少し難しそうに思うかもしれませんが、クイズ形式で全部で100問のニュアンスの違いが出題されており、気軽に読んで、理解を深められる構成になっています。
豆知識を増やすくらいの軽い気持ちでぜひ読んでみてください。
きっと、文章を作るうえでの力になります。
最近、読む本を探すときにまず岩波ジュニア文庫を探してしまうくらい、良書の宝庫です。
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