【算数の宿題やテストで変なミスが多い…とお悩みのかたへ】広瀬友紀『ことばと算数 その間違いにはワケがある』
こんにちは。個太郎塾佐久平教室の渡辺です。
小学生の算数をみていると、一見「なんで!?」というようなミスを連発しているお子さんがいます。
不思議なことに、中学生・高校生になってもケアレスミスというものはなくならないものなのですが、そのミスの種類は小学生とそれ以上とではまるで違います。「ねえ、どうしてこんな解き方になったの…?」と思わず言ってしまいそうになるその答えにも、実はキチンとした(?)ワケがありそうです。
そういった「小学生によくみられる算数のミス」に言語学的な焦点をあてたものが、本日ご紹介する広瀬友紀先生の『ことばと算数 その間違いにはワケがある』です。
言語学者である広瀬先生が、ご自身の息子さんの摩訶不思議な算数のミスから、言語的な成長過程とミス発生の原因を考察している一冊です。
+と-の混じった式 18-10+5=?
たし算だけ・ひき算だけの問題は難なく解けていたのに、その2つが混ざった式だと途端に変なミスをする…左から順番に解くことは理解しているのにどうして?
たとえば本で紹介されている、
18-10+5
という式であれば、左から順に計算して
(18-10)+5
=8+5
=3
と計算するはずが、
18-(10+5)
=18-5
=13
のように順序を誤って計算してしまう…左から、というのは知っているはずなのにどうして?というもの。
これに関して、広瀬先生は「認知コストの低いほうを優先するミス」としています。
つまり、18-10を計算するより、10-5を計算するほうが楽だ、と(無意識に)判断してしまったのでは、ということ。これは日本語においても構造の曖昧性のミスというものがあるそうです。
かつてネット上でにぎわった、「嵐の櫻井翔と相葉雅紀が結婚!」のニュースもその日本語の構造の曖昧性からいろんなとらえ方をされた例として出されています。
このほかにも、よく目にする「かける数」・「かけられる数」問題、マイナスにマイナスをかけたらどうしてプラスになるのか問題・くり上がり・くり下がりの筆算のミスなどなど、塾で指導していても「あるある!」「あれってこういうワケだったのか!」とつい納得してしまうものばかり。
お子さんの算数のミスにモヤモヤしたらぜひ読んでみてください。
この本に詳細は書かれていませんが、日本語の構造のせいで発生するミスや認知コストのミスなどは、言語分野が発達したり認知が発達したりすれば減ってくるのでしょうか。だから小学生と中高生ではミスの種類が違うのでしょうか。気になります。(そうだとしたら、読解力をトレーニングしたらこういったミスは減るのか試したい…)