【講師のおススメ本紹介】『山中教授、同級生の小児脳科学者と子育てを語る』【育児・発達障害】
こんにちは。個太郎塾佐久平教室の渡辺です。
本日はiPS細胞の研究でノーベル生理学・医学賞を受賞した山中伸弥教授と、学生時代の同級生である成田奈緒子医師の対談本『山中教授、同級生の小児脳科学者と子育てを語る』講談社+α文庫,2021をご紹介します。
成田奈緒子さんとはどんな人?
山中伸弥教授は言わずとしれた研究者ですが、成田奈緒子さんは、小児科医であり、小児専門の脳科学者でもあります。
また、特別支援教育を行なう教員を育てる大学教員でもあり、小児心理の外来及び、児童相談所や発達障害者支援センターなどの嘱託医を務めながら、千葉県内で「子育て科学アクシス」という医療・心理・福祉・教育の枠を超えた専門家と、発達障害や不登校、不安障害のお子さんをもつ家族の交流の場を主宰しているとのこと。こどもの発達に関しても何冊も著書があります。
山中伸弥教授とは神戸大学医学部の同期で、ラグビーに学生生活を捧げていた山中伸弥教授が試験前にノートを借りていた相手が成田奈緒子さんだったとか。
そんな、第一線の研究者であるおふたりが、どのように育てられ、どのような育児をしてきたのか、ざっくばらんに対談された本です。
時代や個人差もあるので育児の正解というものはわかりませんが、少し気になりませんか?
レジリエンス(乗り越える力)とは?どのようにしたら育てられるの?
レジリエンスとは、困難に直面したときに「うまく適応できる能力」、つまり「乗り越える力」だとされています。この能力が高けれが、ストレスにさらされたときにも折れずに立ち直ることができるそうです。
成田医師の臨床研究では、発達障害のある方は「レジリエンス」が低い方が多いので、その対策を研究する…といった内容のものもあるそうです。
このレジリエンスは「自己肯定感」「社会性」「ソーシャルサポート(周囲のサポートを実感する力)」から成り立っていて、そもそも発達障害の方は「社会性」がその特性上低い場合が多く、また、周囲の理解も得にくいことから「自己肯定感」も「ソーシャルサポート」も低いことが多いそう。この3つが相まってレジリエンスの点数となるそうなのですが、「自己肯定感」は大人になってからでは高まりづらく、「社会性」も特製のため上げづらい。
そこで、「ソーシャルサポート」を引き上げることでレジリエンスも育てていく…といった取り組みのようです。これは発達障害の人に限らず、育児や生活、仕事のあらゆる面で意識してみたい部分だと思います。
脳科学的にも早寝早起き朝ごはんが大切な理由とは?
本著の中で語られているなかで、いちばん面白かったのがこの、早寝早起き朝ごはんが大切な理由でした。
なんとなく大切なのは分かっていても、どうして?と聞かれると「頭が働かないから」としか答えられていなかったのですが、それを脳科学的に、そしてお二人の育児経験からも説明されています。
かいつまんでおくと、
夜更かしせずに早寝早起きをする→脳内物質セロトニンが分泌される→セロトニンによって食欲中枢がはたらく→朝ごはんをしっかり食べられる→脳がはたらく
⇨体の機能・情動・自律神経などのはたらきをつかさどる「古い脳」が育つ
⇨記憶や思考・情感をつかさどる「新しい脳」が発達しはじめる
⇨適切なコミュニケーションに欠かせない「前頭葉」が育つ
といった理由があるようです。
そう言われてみると、夜更かしした次の朝はあまりお腹が空かなかったりしています。脳って不思議ですね。記憶力やコミュニケーションに不安のあるお子さんはまず、この早寝早起き朝ごはん、を試してみてもいいかも知れません。
今回ご紹介した本はこちら↓↓
割と最近の本なので、字も大きく読みやすいです。対談本で話し口調で書かれているので、30分もあれば読んでしまえると思います。
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