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桝太一『なぜ私たちは理系を選んだのか 未来につながる〈理〉のチカラ』 

    
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桝太一『なぜ私たちは理系を選んだのか 未来につながる〈理〉のチカラ』 

日本テレビアナウンサーであり、この春同局を退職して同志社大学ハリス理化学研究所の専任研究所員となることで今話題の桝太一さん。そのかたが去年出したこの本をご存知でしょうか。岩波書店から発行されている岩波ジュニアスタートブックスは、中学生が自分の可能性を広げていくためのシリーズで、桝さんも去年、さまざまな理系代出身の有名人の方々へのインタビューを、進路選択に悩む中学生へ向けてまとめ上げました。

インタビューに応じたのは宇宙飛行士の山崎直子さん、水族館研究員の下村実さん、YouTuberのゆきりぬさん、ベストセラー作家の海堂尊さん、東京ディズニーリゾートことオリエンタルランド技術者の渡邊典子さん、国立科学博物館研究員の田島木綿子さん、元ラグビー日本代表主将の廣瀬俊朗さん、といった錚々たる顔ぶれです。皆さんもご存知のひともいるでしょうか。

同著で桝さんは、「意外と“理系科目が得意だから”という理由が進路を選ぶ決め手にはなっていないということ。むしろ“やりたいこと”を優先して理系を選んでいたということ」を皆さんの共通点として挙げていました。これはとても大切な視点なのだと思います。インタビューを受けた有名人のなかにはそもそも理系科目が得意でない方もいましたが、それでも「好きなことをやるため」という原動力を持ち続けて勉強をされていたようでした。これは文系・理系問わず必要な考え方だと思います。

そして、読んでいるときに私が一番納得してしまったのが、中学生のころはまるで勉強ができなかったという下村実さんへのインタビューで出てくる言葉でした。

「よく“学校の勉強なんて社会に出たら役に立たない”と言いますが、そんなことは決してない。実社会でも使っているんですよ」

「好きなことって、突き詰めていくと必ずどこかで学問にぶち当たるんですよね」

「中学の頃の勉強って、“これ何の役に立つんだろう?”と、まるでひとりで素振りをしているような感覚にもなりますけど、いよいよ本番でバキバキ打ちまくるような気持ちよさ」

とにかく好きなことを貫き通している人たちの言葉はやはり、同じことを言っていても重みが違うなぁ…と感じた次第です。インタビューなので難しい文章はなく、長くもありません。中学生に限らず、文理選択や進路選択に悩む高校生・浪人生、そして保護者のかたにも気軽に読んでもらえる本だと思います。(M)

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