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【世界史の豆知識】もともとパスタは手づかみで食べられていたって知ってた?②

    
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【世界史の豆知識】もともとパスタは手づかみで食べられていたって知ってた?...

前回提示した、3つの『なぜ』についてのお話です。

なぜ、パスタはこんなにも長い間完成されなかったのでしょうか。

なぜ、すぐに民衆に浸透しなかったのでしょうか。

なぜ、手掴みだったのでしょうか。

なぜ4世紀ころには原型といえるものが出現していたパスタが、11世紀ころまで完成されなかったのか。それは4〜6世紀に発生したゲルマン民族の大移動がまず挙げられます。

当時、イタリアは東西分裂していたのですが、476年に西ローマ帝国がゲルマン出身のオドアケルによって滅亡、488年には同じくゲルマン人の一派東ゴートがイタリア半島を侵略しました。その後、ビザンツ帝国ユスティニアヌス帝が東ゴートを滅ぼすものの、568年に再びゲルマン人一派のランゴバルト族が侵入するなどして、イタリアは分割統治されることとなります。

この、ゲルマン民族なのですが、彼らは農耕牧畜を主としており、肉中心の食事をしていました。また、この時の侵攻によって小麦畑は荒廃してしまっていたため、その統治下では先ほどのパスタの原型すら食べられることはなくなってしまったのです。

そしてパスタが復活したのは、11世紀〜12世紀になって北部のポー川流域では軟質小麦が、南部では硬質小麦が育てられるようになってからでした。しかし、この時はまだ北部では特別な食事としての生パスタであり、南部では運搬・商業のための乾燥パスタであったことから、民衆に広く食されたとは言えません。

この様相が変わるのは、徐々にパスタの生産量も上がり、また、新大陸から新しい食材が持ち込まれる15世紀末の大航海時代に入ってからなのです。パスタに欠かせない唐辛子やトマト、カボチャやジャガイモなど、本当に多くの食材がこのときイタリアにもたらされ、徐々にイタリア各地で個性的なパスタが作られるようになりました。

そして、15〜18世紀に都市の人口が急増して食材や栄養不足が問題視されるなか、産業革命によりパスタを大量に製造する機械が開発され、都市の貧民層にも広くパスタが食べられるようになったのです。そして、このときパスタはイタリア初のストリート・フードとして屋台や出店で手づかみで食べられていました。

みなさんは、パスタを食べるときに何を使うでしょうか。箸ですか?それともフォーク?このときになってようやく市民に広まったパスタには、まだ食具が普及されていませんでした。唯一、トスカーナ地方では11世紀のビザンツ支配下でフォークが登場していたため、14世紀ころにはパスタを食べるためにフォークを使っていたということがわかっています。それ以外の地域では近代になるまでは手づかみで、上を向いてパスタを口に入れていたというのが、今となっては少し驚いてしまいますね。

さて、最初に書いた3つの『なぜ』の疑問はとけたでしょうか。ただのパスタの歴史と思いきや、掘り下げてみるとイタリアや世界の動きと密接に関わっていることがわかったのではないでしょうか。

世界史は特に、さまざまな国の関係や事情が複雑に絡み合っている教科なので、ただ時系列に沿って覚えるだけでは本当に理解したとは言えないでしょう。しかも、そのような学習ではとても忘れやすいです。しかし、イタリアであればイタリアの、独特に発展しているひとつのキーワードを軸にするだけで、驚くほど理解が進みます。

ぜひ、テーマを決めて世界史を学習してください。(M)

今回の『なぜ』の答えは、以下の本から。岩波ジュニア文庫、おすすめです。

池上俊一『パスタでたどるイタリア史』

 長野県佐久市岩村田にある個別指導塾『個太郎塾佐久平教室』

 営業時間:15時から21時(金・日曜日定休)

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